セインベノー、モンゴル
いつも医療法人ロコメディカル江口病院をご利用頂き誠にありがとうございます。
セインベノーとは、モンゴル語で「こんにちは」。朝でも昼でも夜でも使える挨拶で必ず用いられます代表的な挨拶です。
2016年からモンゴル国への医療支援をさせて頂いていますが、モンゴルは世界で最も肝臓がんの死亡率が高い国であることから、佐賀大学医学部に勤務している時にモンゴル国の保健大臣から直々に佐賀大学学長にわたくしの名前を名指しで肝炎対策の支援のご依頼を頂戴し、これまで8回の渡航をして様々な肝炎対策のお手伝いをさせて頂きました。今回は2022年以来の3年ぶり、9回目の渡航となります。私たちは6月7日に成田空港を出てから約5時間半で、モンゴル国の首都の空港であるウランバートル国際空港に着陸しました。ウランバートルに着陸する時は毎回、機内のお客さまのモンゴル帰国を喜ぶ拍手が機内で鳴り響くのですが、今回も機内で鳴り響く拍手喝采を聞いて「モンゴルに帰ってきた」と思いました。
今回はモンゴル国の首都であるウランバートルの東側にあるテレルジという街の生活や衛生環境の視察と国立モンゴル大学医学部や国立モンゴル第一病院の消化器肝臓の専門医の先生方らとの意見交換や院内見学、今後のプロジェクトやデータベース構築の話し合い、またモンゴル消化器病学会での招聘講演に伺いました。
肝炎対策を取り巻く環境もこの9年間で大きな進展を遂げ、モンゴルで肝臓がんの最大の成因であったC型肝炎も飲み薬で体内からウイルスを消し去ることが出来るようになり、モンゴルでもその薬が広く使われるようになっています。またモンゴル特有のB型肝炎とD型肝炎の重複感染には支援開始時には有効な治療薬がなく、20歳代でも進行した肝硬変の患者さまも少なくありませんでしたが、そのB+D型肝炎への治療薬も開発が進んできている朗報もあります。そこで、今後はそれらの疾患でありながら、まだ見つかっていない、または分かっていても詳しい検査がされていない患者さまが少なくないモンゴルの西方にあるホフト県への医療支援の計画を立てる打ち合わせも行い、大変、充実した訪問となりました。
私たちが住む日本は保健医療や介護、福祉、栄養状態、衛生状態の全てが充実しています。一方、モンゴルの人々はそれらはまだまだこれからではありますが、昔と変わらず美しい大自然を大切に、そして溶け込みながら活き活きと生活されています。もしかすると、不便は感じず「足るを知る」生活を営んでおられるとも言えるのかもしれません。モンゴルから帰国する時は毎回なのですが、今回も「本当の幸せとは何だろうか」と考えながら生きる力と英気を頂いて帰国の途につきました。
これからも医療法人ロコメディカル 江口病院を宜しくお願い申し上げます。